2018年04月13日鉄骨製作工場での組立検査で気付いた事

<高力ボルト摩擦接合面処理について>

摩擦すべり係数0.45の確保を目的として下記による処理が必要となる。

 

1.自然発錆の赤錆による方法

・接合面の黒皮(ミルスケール)をグラインダーで除去する。

・錆の程度は一様に赤く見える位が適切である。(屋外放置で1~2週間程度必要)

・赤錆はワイヤブラシで軽く取り除く事。

 

2.ブラスト処理による方法
(ブレードと呼ばれる羽根車を高速回転し、鋼球粒を打ち付ける方法)

・ショットブラスト処理で表面の粗さを確保すれば、赤錆が発生しなくても良い。

(表面粗さを50µmRz以上 表面粗さ標準片による)

・サンドブラスト処理では表面の粗さを確保できない事に注意が必要。

 

3.薬剤処理による方法

・JASS6では、原則として自然発錆、ブラスト処理以外は特記による事。

・やむを得ない場合に限り、グラインダーで黒皮を取り除き発錆促進剤を用いる事もある。

・各社の実験では、薬剤塗布後ボルト締付までの養生時間を24時間(標準)としている。

尚、注意として塗布後屋外放置で降雨にさらされない事。

 

【注意事項】

・摩擦面のすべり係数が低いとボルト締付の時に共回り・座金回りの原因となり易い。

高力ボルトの頭や座金が取り付く部分も黒皮を取り除く事が望ましい。

・ブラスト処理した部分に後から穴明けを行い、穴回りのバリ取りのためのグラインダー掛けを行わないことが望ましい。(均一な摩擦の確保が出来なくなる。これはグラインダー掛け部分がへこむため。)必ず、グラインダー部分を赤錆状態とする事が必要となる。

4.溶融亜鉛めっき高力ボルト摩擦接合面の処理について

・摩擦面をブラスト処理を行う方法とし、処理面のめっきがくもった状態となる程度

なお、鉄素地が露出しない様に注意する。(すべり係数0.40)

・溶融亜鉛めっき後、摩擦面をブラスト処理に替えて、リン酸塩による薬剤処理(はけ塗り)を行う事もある。

これは、表面に安定したリン酸塩結晶皮膜を作るもので、塗装とは違い無色のリン酸塩結晶膜であるが光反射により変化している事で確認できる。